福井県産小和清水石(こわしょうずいし)の石臼製粉

蕎麦の栽培から石臼挽きによる製粉、そしてお客様のお手元に届くまで

昔ながらの石臼挽きが風味豊かで香り高い質のよいそば粉を生み出す

昔ながらの石臼挽きが風味豊かで香り高い質のよいそば粉を生み出す

昔ながらの石臼挽きが風味豊かで香り高い質のよいそば粉を生み出す


そば粉の製粉方法には、石臼挽き製粉ロール挽き製粉の二つに分けられます。作業効率やそば粉の生産量の点をいいますと、明らかにロール挽き製粉に軍配が挙がります。しかし、作業効率は悪く、一日に挽けるそば粉の量も限られてきますが、当社では石臼挽きによる製粉を採用しております。石臼挽きによる製粉とは、上臼と下臼の間で面と面によってそばの実をすりつぶして粉にする製粉方法です。原料になる玄そばをすりつぶして粉にするという昔ながらの原始的な方法ですが、石臼で低回転で挽くことにより、蕎麦の命ともいわれる「香り」「風味」を失わずに味わいよいそば粉を挽くことができます。

石臼挽きの利点

粉焼け防止効果 石臼の回転は一分間に約18回転程度のスピード。ゆっくりと、じっくりと挽くため、ロール挽き製粉などの高速製粉機に比べて粉焼けがおこりにくい。
閉じ込める効果石臼は原料を石臼の目に閉じ込めた状態により製粉することで、高速の空気の流れに触れないため香りが飛びにくくなる。 
風通しの効果石臼面の溝は臼面に熱がこもるのを防ぐため、石臼製粉だと連続粉砕しても温度の上昇をある程度抑えることができる。
やさしい粉砕の効果石臼挽きではすりながら粉砕を行うため、物質特有の組織を壊さずにやさしく粉砕することができる。
粒度のばらつき効果石臼挽きで製粉したそば粉は粒子が細かくキメのある粉になり、その細かい中でも粒度が揃わず、粗い粒子と細かな粒子が混ぜあうため、味が単調にならない。粗い粒子と細かい粒子が混ぜ合うことで相乗効果(粗い粉が風味・細かい粉がねばり)を生み出し、食感の良さや風味の良さを得ることができる。

小和清水石の石臼

製粉中の福井県産「小和清水こわしょうず」の石臼

製粉中の福井県産「小和清水こわしょうず」の石臼


石臼とはどんな条件をクリアした石臼がそば粉を挽くために良いのでしょうか? 減りの少ない石という点が挙げられます。臼は回転しながら上臼と下臼の面と面がすりあうわけですから、回転することですり減ってしまうような軟らかい石ではダメだということになります。片減り(石臼の面の一部分がすり減ること)などをおこしてしまうと、臼が傾いて粉になる箇所と粉にならない箇所とが発生し、ムラのある粉ができてしまいます。また、すり減った石の粉末がそば粉に混じる心配もあります。
福井県産「小和清水こわしょうず」の石臼

福井県産「小和清水こわしょうず」の石臼は福井在来種の良さを損なわずに挽きあげる


当社の石臼は福井県産「小和清水石こわしょうずいし」の石臼にて挽いております。 福井県福井市(旧美山町)の小和清水は江戸時代の初期より石臼の産地として知られておりました。その石質は粉を挽くためには非常に質の良い硬度と緻密な組織を持っております。また、自社管理の玄ソバも含水率15%(蕎麦粉にしたとき一番美味しくなる)基準に管理しておりますが、握った時に跡が残るようなしっとりとした、香り高いそば粉を挽くには、弊社で独自の目立てを行った、質の良い硬度と緻密な組織を持っている、この小和清水石の石臼でなければ、挽くことが非常に困難になります。

自社による石臼製粉機の製作、そして石臼の再生加工と目立て

自社独自の石臼製粉機の製作と再生加工及び目立て

自社による石臼製粉機の製作中の状況


当社の石臼は一から自社にて設計・検討を行い、石臼の製作加工(すり合わせや目の切り)から、動力部・材料供給部・枠組みまで全てにおいて自社にて製作されたものです。 自社で製作しているから構造の全てを理解することが可能となっております。見た目は無骨で派手さや洒落たところはありませんが、質の良いそば粉を挽くことだけに特化した構造となっております。また変に複雑な構造にしないことで、使い易く且つ掃除やメンテナンスが簡単にできることにも重点を置いてあります。製粉機の一番重要な部分「石臼」につきましては、福井県産の小和清水石を使用しておりますが、その石は十数年以上の時間をかけ、
自社の石臼研磨機により再生された石臼

自社の石臼研磨機により石臼全体の整形を行う


福井県内を探し回り手に入れた石を使っております。 石臼が使われなくなってから既に半世紀以上、もしくはそれ以上経過してるのかもしれない年代物の石臼です。長年使われたのか?長年放置されて風化したのか?臼の溝は相当減っている。表面も劣化している。手に入れた石臼はそのままでは使えません。しかし、古いものほど石の粒子が細かく、質が良い。 その深い眠りについていた石臼にもう一度命を吹き込む「再生加工」と「目立て」を行った石臼でゆっくりしっかりと挽いたそば粉は、キメが細かくしっかりとしていて、食感の良さや風味の良さを得ることができます。
手作業で石臼の目立て

表面研磨処理後に石臼一つ一つ手作業で目を入れなおす


一度は役割りを終え、深い眠りについていた石臼に再度命を吹き込む再生加工と目立てを行うことで、再び目を覚ました石臼は今日も元気に働いております。ここまでした理由はただ一点「良いそば粉」でたくさんの人にお蕎麦を打っていただきたい。味わっていただきたい。という思いからです。

日々の管理とメンテナンス

日々の管理とメンテナンスで実力発揮の石臼

毎日石臼たちと付き合うことで少しの音や異変に気付く事が可能となる


しかし、石臼挽きによって製粉したそば粉だから全てうまいとは限りません。石臼挽きには石臼挽きだからこそ生じてくる問題点もたくさんあります。上下の石臼の擦れ合う面の状態や、原料が石臼の中を送られていく時の流れの塩梅、石臼の回転数の変化等など、日々の点検と回転している石臼のわずかな声の変化を感じることが重要となっていきます。再度命を吹き込んだ石臼、そして永年の間、毎日毎日そば粉を挽いている石臼は家族か兄弟のようなものです。石臼と毎日一緒に付き合い、そして自社製作だからこそ石臼部だけでなく、動力部、そして全体の構造を知り尽くしているため、粉挽きの命ともいえる石臼製粉機のちょっとした変化に気づき、修正・微調整などすぐにできる利点があります。