郷土(きょうど)そば

日本には各地に昔から行われてきたその地方独特の蕎麦の食べ方があります。さて、どのような郷土そばがあるのでしょうか?

青森県(津軽そば)
つなぎに大豆を用いるのが特徴の貴重な郷土そばですが、作り方が面倒なため、次第に作られることが少なくなり、今ではめったにお目にかかれない幻のそばと呼ばれるようです。この津軽そばは驚くことに茹で置きが一般的なんだそうで、そばを茹でてから半日以上寝かせるんだそうです。作り方ですが、そば粉でそばがきを作り、それを一晩おきます。こんどはこれにそば粉と大豆の粉をあわせたものを混ぜこれを捏ねて、そば玉を作ります。そして、製麺してまた一晩おきます。先ほど書きましたように、茹でてからも茹で置きするので、津軽そばを作るのに3日もかかるそうです。つなぎに大豆を使う理由は、津軽地方では小麦があまり採れなかったため、かわりに豊富にあった大豆を使ったようです。つなぎに大豆を使うとほろほろとした柔らかい優しい麺になるそうです。

岩手県(わんこそば)
わんこそばの歴史は、約380年程の昔にさかのぼります。南部家第27世利直公が江戸に上られる途中、花巻にお立ち寄りになられたおり、旅のつれづれをなぐさめようと郷土名産のそばを差し上げたところ、利直公はその風味をたいへんお気に召され何度もおかわりをされたと伝えられ、その際にですが、そばを上品に椀に盛って差し上げたところから、わんこそばと称されるようになったといわれております。丼ではなく、お椀で食べるところからこの名前がついたのですが、岩手県の方言の特徴として名詞の最後に“コ”をつけることが挙げられます。

新潟県(へぎそば)
へぎそばとは、ふのりという海草をつなぎに使ったそばです。このそばの特徴はつるつるしこしこした食感であることです。「へぎ」という器に盛られて、「へぎそば」という名が付きました。「へぎ」とは、幅30センチ長さ50センチ程の大きなせいろの様な器で、そばを一口程度に丸めたものをへぎに約30個程もりつけ、3~4人でそれを囲んでたべます。また、ゆでたそばを手を振りながら、水から揚げ、へぎに盛りつける特有の動作から、「手振りそば」とも呼ばれているそうです。

福井県(越前おろしそば)
越前おろしそばという名前は平成2年に福井県の特産品として一つのブランド名で認定されています。そばに大根おろしを添えたシンプルな料理ですが、その味は奥深く、最近では長寿食としても注目されています。慶長6年(約410年前)本多富正公が京都の伏見から、府中(現在の越前市)城主として国替えの際、金子権左エ門という“そば師”を連れてきました。そしてそばの栽培を奨励し、非常食として公自身も非常にそばを好み、現在の様なそば切りにして大根おろしをかけて食べたと言い伝えられており、これが“越前おろしそば”のはじまりといわれております。さらに福井のおろしそばが越前おろしそばとして全国に広まったのは、昭和22年10月、昭和天皇が福井に来られた際、2杯ものおろしそばを召し上がられました。その後、皇居に戻られた後、召し上がられたおろしそばを懐かしみがられ、「越前のそばは大変おいしかった」というお言葉に由来しています。

兵庫県(皿そば)
出石皿そばは、宝永三年(1706年)に信州上田から国替えになった、仙石氏により伝来したといわれているそうです。在来のそばに信州の手法を加えており、出石焼の小皿を使い特色ある出石皿そばの様式が生まれました。現在は割り子そばの形態をとっており、この形式となったのは幕末の頃で、屋台で供される際に持ち運びが便利な手塩皿(てしょうざら)に蕎麦を盛って提供したことに始ったそうです。店舗では通常1人前5皿で供される。1皿に盛られた蕎麦の量は2~3口程度で食べれるそうです。徳利に入ったダシと、薬味として刻みネギ・おろし大根・おろしワサビ・トロロ・生鶏卵1個などが出されます。蕎麦を盛る小皿は出石焼で各店舗オリジナルの絵付けがされており、各店の皿を見るのも楽しみ方の一つですね。