薬味の効能

本来、「やくみ」とは、漢字で「薬味」と書くように、薬としての効能と、蕎麦の味の引き立て役としての働きを持ち合わせています。薬味の多くは、露払い的に口の中をさっぱりさせて、蕎麦を美味しく感じさせたり、あるいは口直し的に、口の中に残る蕎麦と汁の味をいったん消して、最後まで飽きずに蕎麦を楽しませてくれるといった働き方をします。それに対して、種類は限られてきますが、蕎麦そのものの味をよくするという、文字どうり味の引き立て役として働く薬味もあります。

ねぎ
ねぎの香りと辛味は、ほどよい程度のものであって、口中を快く刺激して食欲をうながします。硫化アリル(アイシン)が、そばに多く含まれるビタミンB1の吸収を良くし、無駄なく摂取できるように働きます。そばの効能と合わせて、疲労回復や冷え性、強肝作用などがネギによって高められます。また、体を温め、内蔵の働きを盛んにし、血液の循環を良くする効果を持ちます。

わさび
そばに含まれているビタミンB2の吸収を助ける働きがあります。また、強い殺菌作用があることは、昔から知られています。何より、ツンとした香りがそばやつゆの味をリフレッシュさせ、食欲を増進させます。そばを二・三口と食べたら、箸の先にわさびをちょっとつけて舌にのせる。そして、舌の上に残る汁やそばの味を一旦わさびの香りでいったん消します。それからまた新たにそばを味わいます。そばを食べている合間にわさびを使うことで、いわば舌を洗った状態にして食べ続けることができますので、そばを最後まで飽きずにそばを堪能できるのです。

だいこん
大根には消化酵素ジアスターゼが多量に含まれており、ジアスターゼが消化を助けます。ビタミンPは血管を強め、高血圧や脳出血を防ぐ作用があります。また、ビタミンCはそばのルチンの効果を高めますので、中高年や高血圧症の方にはおすすめの薬味といえます。ダイコンおろしをかけたお蕎麦で全国的に有名なのは、福井県に伝わる「越前おろしそば」が有名ですね。

七味唐辛子
唐辛子・胡麻・麻の実・けしの実・山椒・陳皮または陳皮ゆず・青海苔などを粉末にして混ぜたもの。でこうして名をあげてみれば分かるように、いずれも香りのよい材料が混ぜ合わされています。1番多く含まれている唐辛子は、古来より健胃剤として重宝されてきました。強い辛味が胃袋を刺激して、食欲を盛んにします。また、ビタミンAは血行を良くし、体を温める効果を持っています。